ミョウガ出荷年々増加全国シェア60%

「箱詰めロボ」で効率化

JA土佐くろしお

高知新聞2021年2月28日(日)掲載

地域活性化所得増大新規就農生産拡大
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 JA土佐くろしおの管内で生産されるミョウガは、全国シェアの60%を占める。主に関東圏に出荷されており、夏場の最盛期には1日に2キロ入りケース約2万ケースを出荷するという。年々増える出荷量に対応するため、最も人的労力の大きい「箱詰め作業」を省力化するため、ロボットも導入している。日本一を誇るミョウガ産地に成長したその背景と、今後の展望について聞いた。

日本一の生産地

スーパーマーケットで、一年を通して手に取ることができるハウス栽培のミョウガ。高知県は日本一の生産地で、県内では須崎地区や安芸地区、興津地区、東津野地区、幡多地区などで栽培が盛ん。中でも須崎市、高岡郡中土佐町、津野町を管内とするJA土佐くろしおの出荷量は群を抜いており、全国シェアの60%を占めている。

「旧JA須崎市」管内でミョウガの栽培が始まったのは、1984年のこと。その2年前からミョウガの促成栽培の技術開発が進み、4戸の農家が試験栽培を行った。その後、東京市場での需要が高まり、生産者も増えていった。

当時は折り詰めの箱に美しく並べ、業務用の高級食材として出荷していたが、91年に一般消費者向けの50グラム入りのパック販売をスタート。それがヒットし、ミョウガの販売高は右肩上がりに伸び、95年には生産者が100人を超え、市場売上高は15億円を突破した。

一方で、課題もあった。土耕栽培のミョウガは土から感染する「根茎腐敗病」にかかりやすく、連作障害も出ていた。さらに、98年の高知豪雨の際に病気がまん延し、深刻な状況となった。

土耕栽培に限界を感じた2人の生産者が、ヤシガラを培地とする養液栽培の試作を行い成果を上げたことから、地域全体で養液栽培への切り替えが進んだ。その結果、土壌消毒や畝立てなどの作業が不要となり、栽培・収穫期間が延びて収量がアップした。

単価が下がっても収量が増えたことで販売高は上回り、他の作物からミョウガに転換する人も増えた。2000年度には生産者が201人、市場売上高は33億6千万円と5年で倍増した。

また、県内他産地と古くから交流を行い、災害や病害により種茎の確保ができない場合には融通し合い、連携と協力により信頼関係を結んできたことも生産拡大の大きな要因だという。

全国シェア60%を誇る「JA土佐くろしお」のミョウガ

 

後継者増も後押し

ミョウガは、種茎を植え付けてから収穫まで約半年。収穫期間は3~4カ月でその時期には多忙を極めるが、それまでは比較的手間がかからない。環境制御機器の導入によって換気や水やりが自動化され、管理も楽になった。廣見哲夫営農部長(57)は「繁忙期が集中していることで規模拡大がしやすい」と話す。

家族経営の農家では、夏どれと冬どれの作物を栽培する複合経営が多いが、ミョウガは植え付け時期をずらせば単一作物での規模拡大が可能となる。

実際に、12年度と20年度を比べると、1人当たりの平均栽培面積は約3アール増加している。1人当たりの栽培面積が増えれば、地域全体の生産量アップにもつながる。

また、廣見部長は「このスマートな農業と、めりはりのある作業形態が若い人に向いている」と言い、後継者が増えていることも産地を後押ししていると話す。JA土佐くろしおでは、高齢の生産者が手放すハウスを譲り受け、規模拡大ができるようにマッチングも行っている。

トレーを作業レーンに載せると箱詰めまで機械が自動で行う

 

「まだまだ伸びる」

現在、JA土佐くろしおのミョウガの作付面積は73・27ヘクタール、生産者数223人で、20年度は出荷量3658トン、市場売上高は約66億円と過去最高となった。これまでも出荷体制を強化してきたが、さらに効率化を図るべく18年に機械導入を模索した。

出荷までの工程は、収穫したミョウガの外皮を生産者が取って整え、3個ずつトレーに載せた状態で出荷場に持ち込む。それを作業レーンのベルトコンベヤーに載せ、フィルムラッピング、シール貼付、生産者情報の印字を機械で行う。出来上がった商品を人の手で発泡スチロールの箱に詰める。

1箱40パック入りで、最盛期の7月には16基ある作業レーンがフル稼働し、1日に2万ケースを出荷するという。最も労力がかかるのは箱詰め作業で、1分間に103~120個のスピードで商品が流れてくるため集中力が必要で、近年は人手の確保も課題となっていた。

この労力のかかる箱詰め作業を機械化するため、同年、南国市の会社に開発を依頼し、ミョウガのパックをアームでつかみ箱詰めするロボットが完成した。包装に不備がないかをチェックするカメラが連動し、不良品は除外され、箱には入らない。20年6月から二つの作業レーンで稼働しており、4人分の働きをしている。今年の春には、2台が追加され、さらに効率化・省力化が進む予定だ。

廣見部長は、「ミョウガはまだまだ伸びる」と言い、28年度には栽培面積80ヘクタール、販売高70億円を目標にしている。3年ごとに地域振興計画を見直す中で、高齢化が進むも若手の就農や1人当たりの栽培面積増加を見込んでおり、より一層の出荷体制の強化も視野に入れている。

最も労力がかかる箱詰め作業をロボットで行うことで効率化(写真はいずれも須崎市大間本町のJA土佐くろしお第二出荷場)