農家に育ち、「自分もいつかは就農し、畑で子どもを『お帰り』と迎えてあげたい」と考えていた国繁里奈さん(39)。愛媛県からUターンして働いていたが、3人目の子どもを妊娠中に「アキマメ」の指導をしてくれる農家が見つかった。産休明けから1年間、作業を手伝いながら作り方を学んだ。
その後、ユリ農家の父のハウスを一部譲り受け、昨年9月に約900本の苗を植えた。11月から始まった収穫は、これからが最盛期。ピーク時は毎日50~60キロを出荷する。「アキマメを選んだのは、時間のやりくりができるから。ニラやキュウリは早朝に収穫しないといけないけれど、アキマメは一日かけて取る作物。子どもたちを送り出してから仕事をしています」と国繁さん。8アールのハウスでは、毎日膨大な数が“取り頃”となり、水やりや施肥なども忙しいが「全然苦じゃない」と楽しそうに笑う。今回は定植した苗の間隔が狭すぎ、仕立て直しに時間を取られた。それでも「課題が一つ見つかったので、来年は今年よりもうまくいきますから」と前向きだ。
「両親も高齢になったので、少しずつユリを減らして、アキマメを手伝ってもらえれば」と緩やかに代替わりをしていくつもりだ。「自宅も、父母の家も近いので、子どもたちにとってもいい環境。就農してよかったです」