20年間、建設関係のコンサルタント会社に勤務していた安原孝治さん。大きな建造物を手掛ける一方、20代のころから農業に興味を持ち、「パソコンの前で図面を作るより野菜を作りたい」と40歳で「脱サラ」を決めた。
「トラブルがあってもリカバリーがしやすい」と考え、1度の定植で年に6回ほど収穫できるニラを選んだ。1年間ニラ農家で栽培技術を学び、2014年6月に就農。2年後には収量を増やすための炭酸ガスや電照設備を導入し、17年にはニラそぐり機を購入して、作業の効率化・品質の向上を図った。現在3人の従業員、ベトナムからの農業実習生2人と共に54アールのハウスで栽培している。
就農して数年で大規模な設備投資と雇用形態の確立に着手したのは「農業を継続するためには企業的な発想が必要」と思っているからだ。また、「農業はしっかりと段取りをして無駄を省くことで利益を上げられる仕事」と言い、自分の考えと責任で進められることが魅力だと話す。今後は1ヘクタールまで規模を拡大し、次の担い手を育てていく。「就農できたのは、手厚い支援があったからこそ。ニラの全国シェアナンバーワンを守り、農業という職を目いっぱい楽しみたい」と意気込んでいる。